生活音と暮らしの話 「 家の音環境を考える」
ホルツバウハウスの村重です。
毎日何気なく聞こえてくる生活音。料理の音、子どもが走る音、家族のドアの開閉。
普段は気にしていなくても、時には心地よく感じたり、逆にストレスにつながることもあります。住まいの居心地は、目に見えるデザインだけでなく「音環境」にも左右されるのです。
足音はうるさくない
生活音の中でも気になるのが足音だと思いますが、軽量床衝撃音と呼ばれる日常生活音は、床材などによって違いが出ます。
以前、友人の家に行った時「スリッパの音」が妙に気になった経験がありました。
というのも、私は普段「無垢の床を裸足で歩く生活」をしていて、スリッパを履くことが少なくなっていたからです。
薄い木の表面にプラスチックを貼った合板フローリングは硬さがあり、音が鋭く響きます。そのため、スリッパでパタパタと歩くことにより、空間に響いていたのだと思います。
マンションなど集合住宅に住んでいる時は子どもが走り回る音を気遣う場面が多いと思います。戸建ての場合はそれほど気にすることはありませんし、私の場合は「家族の気配」として心地よく感じる瞬間でもあります。
今の住まいに住み初めてから無垢材の床での生活に出会い「聞こえるけれど耳障りではない」柔らかな生活音がする様子を楽しんでいます。
吸音と遮音の工夫
音を軽減するには、遮音シートや1階の天井にグラスウールを敷き込むなどの方法もあります。完全に音を消すのではなく、響きを和らげて「やわらかい音」に変えることがポイントです。家族の声や動きを適度に感じられる環境は、安心感にもつながります。
足音と同様に気になる点が扉の開閉音。
家の中で家族がそれぞれの時間を楽しんでいる中で、無意識のうちに疲れがたまることも。
たとえば、引き戸はドアよりも閉めるという動作を意識するので、家族の気遣いで開閉音を自然と抑えることができます。また下レールのない「上吊り引き戸」にすることで、床から響き渡る音を抑制することで、聞こえる音のボリュームが変わります。
音の感じ方ひとつで、家の居心地は大きく変わります。
静けさを求めるよりも、家族が安心できる「やわらかい音」をデザインする。
そんな視点が、長く暮らして心地よい住まいづくりにつながります。
日常生活の中で、気になる生活音があれば家づくりの際にぜひご相談ください。