バナキュラー住宅とは? 地域特性を生かした環境に良い住宅の造り方
バナキュラー(vernacular)とは最近よくつかわれる言葉で、土着的、その土地固有のという意味のようです。
近代建築はバナキュラースタイルとインターナショナルスタイルに大別することができます。
インターナショナルスタイルは地域の気候特性を無視し、コンクリート、鉄、ガラス、プラスチックなど普遍性のある材料とエアコンシステムによって、世界中何処でも同じような建築物をつくることです。
こうしたインターナショナル建築は20世紀に建築技術を大きく発展させ、世界中に高層ビルが立ち並ぶようになったのです。
一方、その地域に産出する木材などの建築材料を使い、その地域の気候風土に適した建築手法をバナキュラースタイルと呼んでいます。
環境時代に入り、環境共生住宅がにわかに注目されるようになっていますが、バナキュラー住宅が本来の環境共生住宅のように思います。
高層ビルなど大規模近代建築物はインターナショナル建築が自然な成り行きかも知れませんが、我国では戦後の住宅不足を短期間に解消を図るため住宅の工業化が推進され、今日、過半の住宅がインターナショナルスタイルになっているのが問題だと感じます。
3.11震災以降、原子力発電を見直さなければならなくなった今日、オフィスや商業施設などは節電を図りつつもエアコンに頼らざるを得ませんが、高気密化住宅、オール電化住宅など自然に対峙する資源・エネルギー多消費型の家づくりと暮らし方は見直しが必要な時代になっているのかも知れません。
これからの住まいはエアコンに頼らず暮らしの出来る、地域特性を生かした環境に共生する家の造り方、暮らし方を考えなければならない時代になっているように思います。
本当の意味での生活の質の向上と、環境への負荷の低減をバランスよく両立させる住宅設計ができる設計事務所が
重要な時代になるでしょう。