住の地産地消
2014/04/02
食の地産地消は多くの賢い生活者から共感を得易い。食べ物はその地域に採れたものの方が遠方や海外からのものより新鮮で、鮮度保持のための食品添加物が不要であり、安全で安心であろう。そればかりではない、発展途上国の急激な人口増加が進んでおり、近い将来人口爆発による食糧危機も懸念されており、国内の耕作放棄地を増やさないためにも国産食材に拘りたい。
食と同様に住まいの主要建築材料である木材も第二次世界大戦後、自給率は30%前後に低下している。日本の国土の67%は森林で世界的に見ても森林国といえる。自然林に加え、終戦後に官民を挙げて植林をしてきた杉や桧の多くは伐採期を迎えており、成熟した豊富な木材資源が山に眠りストック増加の一途にある。
ある家具メーカーの社長に輸入に頼る家具用材を国産材に換える計画は?の問いに対してこう答えた。「国産材は必要な時に必要な材がまとまらない、なりより国産材は輸入材よりコスト高になるのでその予定はない」と。家具より木材使用量の多いい住宅においても、大手住宅メーカーは構造材や仕上げ材などに国産材を使うケースは少ない。家具メーカーと同じ理由であろう。
都市郊外の住宅に国産木材を使わなければ需要と供給の関係から国産木材価格は下がり、森林の管理も不十分になることが懸念される。住宅の軸組や仕上げ材に国産木材を使うと、輸入材よりも耐久性は高くなり、木の香りの芳しい心身の健康を創る住環境になり誇りと愛着の持てる住まいが造れる。設計や施工、木材の調達に少し手間が掛っても国産木材を使い、地域の工務店が建てる住まいの地産地消は、豊な自然環境と共存する生活の実現が見えてくる。