今回は、視点を変えて、中古住宅の価値についてお話したいと思います。
今皆さんの住んでいる家や、売却・購入を考えている中古住宅の査定方法はどのようになっているかご存じですか?
現在木造住宅は、建築時から20ないし25年経つと市場価値はほとんどがゼロ査定評価となり、良質な住宅ストックであっても適正に評価されず、維持管理・リフォームを行うインセンティブが働かない悪循環構造に陥っており、中古住宅の流通を阻害する大きな要因となっています。
これまでにも既存住宅の査定システムはいくつか作られていますが、一般に普及しているとは言い難いのが現状です。
そこには様々な要因があると思われますが、最も大きいものは、(買いたい・売りたい)消費者に対する広報活動の不足や説得力がある査定理論、査定現場での使い易さ・利便性等に問題があったためと考えられます。
消費者の意識転換を促し、消費者に寄り添った理解しやすい査定を実施しなければ、いくら良いシステムであっても画餅に帰す可能性は否定できません。
このため、良質な既存住宅を的確・公正に評価・査定し、欧米並みに利活用・流通させるためには、真に消費者に分かりやすい、その対価に消費者が納得するシステムの構築が必要と思われます。
(一社)建物評価研究機構は、このような状況に鑑み、 “既存の査定方法より合理的に、売主・買主により分かりやすく”というコンセプトの下、新たな査定システムとして、『THK住宅査定システム』を開発しました。このシステムの開発には、私も当機構の理事として携わっています。
THK住宅査定システムの 特長
鳥取県では全国でもいち早く、このTHK住宅査定システムをベースにしてT-HASという査定システムを導入し、2024年4月から業界団体を中心に試行を開始しました。
これから全国でこの考え方が拡散し、普及していくと思われます。
前置きが長くなりましたが、これからの時代中古住宅を賢く売るためには、新築時に良い質・性能・デザインの住宅を建て、時代に合ったリノベーションを施し、丁寧にメンテナンスをし、ご自身にとって快適な家を保っておくことが大切ということです。そういう上質な中古住宅は、欧米のように築年数が多くても高い評価がされるようになります。将来相続が起きても、利用も売却もしやすくなるため、今日本全国の問題となっている空き家防止にもつながります。
質の高い住宅が残り、美しい日本の住宅地・街並みが創出されます。そんな日本の未来を期待しています。