木づかいの意義

2022/09/15

木を沢山使いましょうと言っても、森林伐採は環境破壊ではないのか?と素朴に疑問を抱く方は多いでしょう。以下の現状を知ることで、理解することができます。

 

全世界では造林等による増加分を差し引いても、日本の森林面積の3分の1に相当する730haが毎年減少しています。アジアやヨーロッパで森林面積が増加していますが、熱帯での森林の減少は、アフリカで400ha、南アメリカで420ha、南および東南アジアで280haなど、毎年大面積の森林が減少し、歯止めがかかっていません。これらの地域の木を伐採・使用することは、環境破壊になります。伐採することへ疑問を持たれている方は、このイメージが強いのだと思います。

 

しかし世界と日本の森林の現状は違うのです。

 

前のブログでも書きましたが、日本は国土の約2/3が森林に覆われた、世界でも有数の森林国です。日本の森林面積は2,500万haあり、これは本州(2,310万ha)よりも広い面積となります。
また、その中でも資源として活用できる森林資源蓄積量は、35年前に比べて倍増する勢いで増えていることが、下のグラフから分かります。

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これは、日本が自国の森林資源を使っていないことを表しています。

伐採されず年老いた木はCO2を吸収する力が弱まります。また、根が弱くなるので、大洪水が起こると、土砂災害が起こってしまいます。森の浄化作用を弱まらせ、川・海の生物にも悪影響を及ぼしてしまいます。

今、日本の木は、地球環境の為に伐採なければならない時代に突入しているのです。

森林は、伐採してもその後に植林して適切に管理すれば、次の世代に残すことができる持続可能な資源です。今使って植樹し、私たちの孫の世代に森林資源を残さなくてはならないのです。

 

以上の理論が、国・地方自治体・大学教授・非常に高いレベルの方々が説明している、国産の木を使う正論です。何の間違いもありません。

 

 

しかし、私の理論は違います。

 

多くの人間は、良い意味でも悪い意味でも、必ず「エゴ」を持っています。地球環境問題を第一義として生きていません。

人間が地球環境の為に生きているなら、電気もガスも使用してはいけません。建物も建ててはいけませんし、車も電車も飛行機も乗ってはいけません。水曜日のダウンタウンやヤクルト村神選手の王貞治の記録に追いつく55号ホームラン(これはすごかった)を見て喜んでいる場合ではありません。究極の地球環境保護を言うならば、人間という生物自体がこの地球から滅びるしかないのです。

人間が生きている以上、地球環境を破壊します。人間は地球環境が破壊されると生きてはいけなくなります。しかし、人間はエゴを捨てられない。つまり人間が生きていくには、エゴを満たした上で地球環境と共生していかなくてはならないのです。

 

木材利用の意義はここにあります。

 

日本の森林を守るためではなく、CO2削減・地球温暖化防止のためではなく、木を使った家に住むと、とっても肌触りが気持ちよく、断熱性が高くて暖かく、良い香りがして目の保養ができて、感性が磨かれて本物の良さが分かるようになり、時が経つにつれ味わいを増して価値が高まり、子供たちが寝転がって遊ぶ姿を見ることができるようになります。そして、MADE IN JAPANは、安心して使えます。だから、使うのです。

 

「エゴ」によって木を使うことで、結果、日本の森林を守り、CO2削減・地球温暖化防止につながり、土砂崩れを防ぎ、川や海の生物も健全な状態を保つことができるのです。

 

私にとっての「エコ」の定義は、

  • エゴ:気持ちいい、かっこいい、快適、好き
  • エコノミー:使えば使うほど価値が増す、長持ちする
  • エコロジー:森を守る、CO2削減、ゴミを出さない

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                 エコバランス

 

この3つのバランスが大切だと考えています。

 

人間のエゴを満たし、中長期的に見て経済的であり、地球環境を守る。

木は素晴らしい材料です。

 

使わない手はありませんね。

 

 

木づかいには、国・地方自治体の制度、林業、木材市場、製材所、材木屋、住宅会社・工務店、プレカット工場、建築士、インテリアコーディネーター、営業マン、そして消費者が関わります。これら川上(林業)から川下(消費者)まで、それぞれが沢山の課題を持っています。今、それぞれの分野で木づかい運動が一歩ずつ進み始めたところです。

私自身微力ながら、社会貢献という名のエゴを満たすべく、この運動に川下から渦を起こし、それぞれの分野を巻き込んでいき、「木の文化・日本」を復活させたいと思っています。

 

是非日本の木を使って気持ちのよい家を建てましょう。

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