家をつくって健康を失う(続)
2016/10/05
高濃度のトルエンは、中枢神経の抑制による麻酔作用となって人体に影響を及ぼすほか、
繰り返されるとトルエン中毒と呼ばれる薬物依存症を引き起こす。
前回お話した保育園のケースでは、化学物質を吸着する繊維でできたシートを床に敷き、
ようやく指針値内に濃度を下げることができたとあるが、果たして指針値内を安全と言い切れるかどうか。
仕上材や下地材などに合板類やプラスチック(化学合成樹脂)など新建材を多用したことによる
化学物質の複合汚染は、部分的な対処では解決しない。
シックハウス症候群に近い症状を示すものに化学物質過敏症があるが、微量な化学物質にも
体が反応してさらに対応は困難である。
これははじめにある程度の化学物質に触れたり、低濃度でも長期間接触することで発症し、
以後は極めて微量の化学物質にも適応できなくなるものだ。
多発性化学物質過敏症になると、最初は1種類の化学物質に反応していたものが、
他の物質にも反応するようになり、自己免疫疾患などに陥るケースもある。
国は1997年以降、ホルムアルデヒドやトルエンなどの化学物質13種類に対して指針値を設けているが、指針値に関わらず、有害化学物質は出来るだけ排除することが望ましい。