家をつくって健康を失う

2016/09/24

家をつうる目的は、家族の幸せを育むことだろう。

安らぎと健康、日々の活力、暖かい団らん、誰しもがそれを夢見て「家」という大事業に向かう。

ところが近年、憩いの場、休息の場として家族の健康を回復する場であるはずの家をつくって

家族が健康を失うというケースが増えている。

 

「シックハウス症候群」である。

シックハウスを直訳すれば病気の家。

シックハウス症候群とは家を原因としたさまざまな症状をいう。

ことに新築の家に住むと発症する人が多いため、別名「新築病」とも呼ばれている。

家屋を新築した途端に、子供が体調を崩したり、大人たちも吐き気や頭痛、のどの

渇きといった不快感に襲われることがある。これまではそれを家と結びつけることが

ないまま、生活環境が変わったせいだろうという程度でしか受け止められなかった。

 

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70年代に実際の事故例があってはじめて調査が行われ、ビニル壁紙の接着剤として

使用されていた防腐剤からホルムアルデヒドが揮発していたことがわかった。

今や、シックハウス症候群は、建築材料や家具に使用された新建材から発生する

有害化学物質による室内空気の複合汚染が原因であることは周知のことであり、

社会問題のひとつに数えられている。

 

主なものは、目がチカチカする、頭痛、のどの不快感、アレルギー、アトピー性皮膚炎、

鼻炎、倦怠感、手足のしびれ感などであるが、その他、不眠や思考力の低下、

情緒の不安定、不妊など、シックハウスが原因とみられる症状は実にたくさんある。

 

2002年11月20日の朝日新聞の朝刊に、「保育園襲ったシックハウス症候群」と題した

記事が大きく載っている。大阪府堺市の保育園で、国の指針値の11.9倍もの高濃度の

トルエンが検出された。2月に新築したばかりで、夏ごろから多くの園児にせきや吐き気が

生じたりぜんそくが悪化するなどの症状が出て、シックハウス症候群の疑いがあると医師に

よって指摘されて明らかになったが、床に塗った接着剤が原因らしい。

保育園と施工業者は、室内を暖めてトルエンを気化しようとしたが、濃度は逆に濃くなり、

18.4~13.8倍にあがり、床の張替えをしても直後の検針では指針値の15.7倍であったと

いう。

 

これからの日本をつくっていく大切な子供たちの園舎がこんな具合では、日本の住宅も

恐ろしい限りだと思う。

この続きはまた次回。

 

 

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