日本の住宅の歴史

2016/03/25

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日本は戦後、焼け野原になった敗戦国であったことと第一次ベビーブームにより、深刻な住宅不足に陥ります。質より量が必要な時代だったのです。

 

そこで国策として、住宅の大量生産の為にハウスメーカーを誕生させ、プレファブ住宅を大量生産していきます。

住宅の大量生産の為に、住宅は従来の湿式・真壁工法から乾式・大壁工法になります。早く大量に造り、構造を強く、高気密化するためです。

 

それに伴い、自然素材が新建材に変わっていきます。合板・集成材・パーティクルボード・ファイバーボード等様々な木質系新建材が生まれます。

メラミン化粧合板やプリント合板、塩化ビニルシートなど、一見「木」のような偽物の材料が住宅に使われるようになります。

これらの開発により、均一的な住宅が大量生産できるようになったわけです。

 

そうやって住宅の表面から、木は消されていったのです。

 

今でも廉価に造られている住宅で表面に見える、木質系仕上げ材はほとんど木ではありません。マンションであればなおさらです。

 

    

  ラミネート天井(紙に印刷) 

  

  塩ビシート(プラスチック)

    

 メラミン化粧合板(プラスチック)     

 窯業系サイディング(セメント)

 

上のような住宅が良い住宅でしょうか?

 

以前、健康食にこだわる方々を集めて「親子で木育教室」を開催させて頂きました。

木質系新建材(木に見える建材)に対し、「今皆さんが触ったものは何でしょう?」という質問を投げかけると、親も子供たちも全員が口を揃えて「木でしょう!?杉かなぁ?欅(けやき)かなぁ?」と

無垢の木以外の物と疑うことをしませんでした。

 

日本は石油を大量に消費する化学革命による高度経済成長の裏で、3つのしっぺ返しを受けたと考えています。

 

1、地球の健康を失う(地球温暖化等)

2、人間の健康を失う(公害・シックハウス等)

3、人間の感性を失う(本物が分からない)

 

急激な経済発展が起こるとき、反動として大きなしっぺ返しを受けるのは人間が既に何度も経験していることです。

18世紀のイギリスの産業革命をはじめ、20世紀の日本の化学革命、そして今の中国が分かりやすい例です。

 

私が失った3つの中で最も興味深く、懸念していることは、3の「人間の感性を失う」ことです。

 

衣食住の中で、日本は住のレベルが極端に低いと言われています。

お洒落な服を着こなし、健康に気を使って国産の野菜を摂取し、シックハウスで偽物だらけの住宅に住んでいる。

とても悲しいことですが、これが今の現実です。

平成15年の建築基準法改正により、シックハウスは無くなったと勘違いしている方が多いですが、高気密化された住宅で、新建材を使った廉価家具を一つ入れただけで簡単にシックハウスになります。

窓が小さく、複合フローリングとビニル壁紙で囲まれた部屋では、住まい方を誤るとカビやダニだらけの家になってしまいます。

 

日本人は元々木の文化で育った素晴らしい住感性を持っていました。

お寺や古民家を見ると理解できます。この住感性を取り戻す一つの解決策は、住環境の中で「木の文化」を取り戻すことでしょう。

 

私は日本の住宅や街並みが、ヨーロッパの住環境に負けない、本物の住宅・街並みになるよう、住宅に関わる者として本気で取り組むことで、少しずつ日本の住文化が変わっていくことを願っています。

 

 

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