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社長BLOG



金堀健一

インテリアコーディネーターへの思い

住宅デザイン研究所は、広島の設計事務所として建築の設計・施工を行う傍ら、インテリアコーディネーターや建築士の資格取得講座や、住まい・暮らしにかかわる各種講座を開催しております。今回は、「インテリアコーディネーター」に対する個人的な思いを書いてみようと思います。

 

私が東京から故郷広島に帰って来て、早12年が経とうとしています。私がこの会社で初めて対外的に行った仕事は、インテリアコーディネーター(IC)の講師でした。当時は西日本各地にフランチャイズスクールがあり、30人を超えるベテラン講師がいました。私はまだ大学を出て3年しかたっておらず、20代の講師は私一人。断トツの若輩者で、当然受講生の平均年齢の方が上。しかも童顔となれば「この子何歳なの?大丈夫?」と言わんばかりのおばちゃん・・・ではなくて女性の方々の視線が痛かったのを今でも覚えています。

 

「こんな若いのにICの講師なんかできません」という懇願に

「じゃあ来年になったらできるのか?来年になってもまた同じことを言う。いつ始めても同じだ」という所長の言葉が今でも脳裏に焼き付いています。その時はとても納得してしまったのですが、今考えると無茶な理論だと思いませんか?(笑)

 

それから12年。1,500人を超える受講生と接してきて、今まで内に秘めた思い(ちょっとは漏らしてる)を、先日開催されたパネルディスカッションの内容と絡めて長文になってしまいますが書いてみようと思います。

 

今週の水曜日、10/22(水)に、(公社)インテリア産業協会中国支部主催のパネルディスカッションにコーディネーターの立場として参加させて頂きました。

コーディネーター

パネラー

ディスカッションのタイトルは「インテリアコーディネーターの可能性」。

パネラーの皆様は、広島県、岡山県、山口県、山陰のIC協会の推薦により、ICとして活躍中の4名の方にして頂きました。

 

裏話ですが、このディスカッションの2か月前に4人の方に質問を決めて投げて、考えて頂いており準備万端(のはず)だったのですが、当日開始一時間前の打合せで、「やっぱり決められた質問と用意した答えだと、聴講者がつまらないからやめましょう」と無茶ブリをしてしまいました。しかし、さすが各県IC代表。全員一致で恨みっこなしで同意して頂き、直後に筋書無しのパネルディスカッションはスタートしたのです。

 

話題にした主な内容は以下の通りです

1、ICとして飯が食えるか?食えるにはどうするか?

2、ICはなぜスターが出ないのか?スターを出すためには?

3、ICと合わせて建築士資格が必要か?

4、ICの可能性

 

それぞれの回答を4名の方にお話頂きました。私なりの偏った回答を述べさせて頂きますと

 

1、今はIC単体で食えている人は少ない。ソフト料もほとんど取れていない。反面、うまく経験を積み、ハウスメーカーや工務店とのコネができれば既婚女性の家事や子育てと兼ねたライフワークとして独立するのは可能。単体で食えるようにするには、物販や工事を絡めるしか(今は)ない。宅建のようにソフト料を決めて世に周知してしまえば良いが、物販をしている優秀な企業内ICがいるため、なかなか難しい。今は、リフォーム会社に営業として勤めて働くのが最もお金がもらえて活躍できると思う。

 

2、エンドユーザーから直接仕事依頼をもらう仕組みになっていないからスター(名前)が世に出ない。独占業務を持つ建築士(国家資格)と競合する仕事で勝つのは難しい。よって、私は新築=建築士、リノベーション=ICという棲み分けをアピールすべきだと思う。特にRC(鉄筋コンクリート)のリノベーションという仕事においては、建築士の資格や知識はほとんど役に立たず、まさにICの得意分野である。よって、リノベーション会社をICとして立ち上げたら良いと思う。

 

3、主たる仕事の内容によるが、建築・インテリア分野で仕事をするには、あるに越したことはない。

 

4、建築・インテリア分野で活躍するには、先細りの新築の下請け仕事ではなく、これからも伸びるリノベーションの元請け仕事に特化すべき。建築・インテリア分野でなく、医療や福祉、子育て等様々な分野でも活躍できるしすべきだと思う。なぜならICはプロフェッショナルではなく、ゼネラリストだから。そろそろ名称を「ライフスタイリスト」みたいな感じに変えた方が良いのかもしれない。

 

という感じです。まだまだ伸びしろがある職能なんだろうな~と思います。

 

 

と仕事の話にしてしまうと、そうなるのですが、実は私の思うICの価値はもっと別の次元にあります。

 

カッコよく言うと、「住文化の向上」です。これは、インテリア産業協会が謳っている目的の1番目に書かれている言葉です。戦後の焼け野原から高度経済成長にかけて、日本は経済的に豊かになりました。しかし、急激な成長はひずみを生んでしまいます。地球の健康(CO2の増加)を失い、人間の健康(公害・シックハウス)を失い、人間の感性を失いました。私にとって最も興味深い所は「人間の感性」を失ったことです。

 

感性の無さを分かりやすく言うと、本物と偽物の区別がつかないということです。

 

よく人は、「それぞれの好みだから、自分が良いと思ったものが一番良いもの」「売れているものが、今のニーズをつかんでいる物だから時代に合った良いもの」と言います。そう言ってしまえば、全ておしまい。だって、そしたら文化なんて無意味なものになってしまうから。

 

日本人は食文化はある一定レベル以上の物を持っていると思います。だって、マックのポテトやコンビニ弁当はたまに食べるけど毎日食べないでしょう。それは、ある一定レベルの食文化を持っているからだと思うんです。別に「今食べてる塩が危ない!」というマニアックなレベルのことを言っているわけではありません。

 

せめて物を選ぶとき、本物と偽物を理解した上で予算上の問題で仕方なく偽物を選ぶ「感性」を持ってほしい。

ICの勉強って、日本人が住文化の向上(取り戻す)の為の感性を磨く勉強なんです。だから、私は「IC資格の合否」より、「ICの勉強をすること」の方が重要だと思って教壇に立っています。極論を言うと、試験に通るためだけの詰め込み勉強をして合格するより、きちんと勉強して内容を理解して身に付けて落ちた方が価値があるということです。ちなみに、建築士はその真逆です。勉強してもあまり意味がないが、合格しないと何の意味もない。

 

と言いながらも、ICも合格するくらい勉強しないと、「感性」も身に付かない。ということで結論としてはやはり合格して欲しいんですけどね(笑)

 

「一家に一人IC」が私の理想です。そうなると、生活が楽しくなり、売れる物も変わり、建つ住宅も変わり、後世に良い住文化を残せるのではないかと思います。

 

これが、私の「インテリアコーディネーターへの思い」です。

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